金子(正)・中村研究室 2017年第2回オープンキャンパス

金子(正)・中村研究室 2017年第2回オープンキャンパス

金子(正)・中村研究室では2つの研究テーマについて研究を行っています.
1つ目はコンピュータで似顔絵を作る研究,もう一つは人と共存できる知能ロボットの研究です.

似顔絵の研究

似顔絵は人の顔の特徴を端的に表しています.そのため,似顔絵はSNSなどで個性を表現することができます.似顔絵を手軽に,簡単に作ることで,コミュニケーションの幅を広げることがこの研究の目的です.

似顔絵を作成するには,まず顔写真から目や髪,口などの顔のパーツの形を取ります.これらを,予め色々な人から集められたパーツの平均と比べて特徴を取り出し,強調することで似顔絵を作ります.例えば,「目は平均より大きい」とか,「口は小さい」などの特徴を強調します.顔のパーツを切り出す作業は,手動で行うと労力がとても大きいです.そのため,コンピュータで自動的にパーツを抽出する方法について研究を行っています.特に髪の毛は背景と一緒になってしまってうまく抽出できないことが多いため,改善する研究を行っています.
この他にも顔写真から年齢の印象を客観的に評価する研究を行っており,例えば新しい化粧品の評価に役立てたり,また,顔印象を表す言葉,例えば「やさしそうな顔」といったキーワードから似顔絵を生成する研究も行っています.

オープンキャンパスでは,似顔絵作成のデモを行いました.


人と共存できる知能ロボットの研究

ロボットが人と共存するためには,ロボットが人の住む環境に適応する必要があります.本研究室ではロボットが人と共存するための様々な事柄について広く研究を行っています.ロボットが移動することを考えてみましょう.例えば,障害物の多い室内でどのようにして目的地に到達するかという問題を考えます.まず,レーザー距離センサーでロボット周辺の障害物情報を把握し,地図を作成します.そして,その障害物を避けるような経路の生成を行って,目的地へ移動します.このとき,人には「パーソナルスペース」というものがあり,ロボットが必要以上に近づいてきたら,恐怖を感じたり,不快に感じたりしてしまいます.そこで,ロボット自身が人にどの程度近づくと不快に感じさせるかを学習し,適切な経路を通って目的地に移動します.

家庭用知能ロボットは,人とコミュニケーションを取ることが重要です.最近では,人とコミュニケーションできる「スマートスピーカー」が話題になっています.しかし,スピーカーは,移動したり物を動かしたりすることができません.当研究室では,簡単な言葉でロボットに命令が出来るようにする研究を行っています.例えば,「オレンジ色のテーブルからジュースを取ってきて」と命令すると,話者にジュースを持ってきて渡すことができるロボットを実現するための研究を行っています.また,人の手伝いをするだけでなく,ロボットが話に合わせた動作をする研究も行っています.例えば,悲しい話をしているときには悲しい顔をするなど,ロボットと違和感なくコミュニケーションする研究を行っています.

ロボットの学習についての研究

人がボールを投げる動作は,「ボールを拾う」,「振りかぶる」,「腕を振る」,「ボールを離す」という小さい一連の動作に分割できます.この小さい動作をロボットに学習させ,その組み合わせで様々な複雑な動作を実現します.

ロボットの知能化についての研究

知能とは何でしょうか?人間は様々な物体や概念に対して単語を関連付け,それを発音してコミュニケーションを取りますが,それは初めから出来るわけではありません.私たちは赤ちゃんのときに言葉を学習します.例えば赤ちゃんにぬいぐるみを見せながら,「これはぬいぐるみだよ」と教えます.しばらくすると,赤ちゃんもその言葉が何を意味しているのか理解し,ぬいぐるみと発音できるようになります.このプロセスと同じように,ロボットに学習させる研究を行っています.ロボットも最初はぬいぐるみを見てもそれが何であるか理解できませんし,発音も出来ません.しかし,何度も教えることによって最終的にはぬいぐるみについて認知を獲得し,発音できるようになります.これまでの研究では,1ヶ月半の学習で様々な物体と対応する言葉について,ロボットが認知を獲得しました.これは人間だと一歳半の知能に相当します.また,赤ちゃんに言葉を教える際には,育児語が頻繁に用いられます.例えば「車」のことを「ぶーぶー」と表現します.これを参考にして,ロボットの学習に育児語を用いたところ,最終的には育児語で学習したほうが早く,うまくいきました.これは「くるま」という発音より「ぶーぶー」という発音のほうが音節が少なく,また発音の繰り返しがあるため,簡単に発音できるからだと考えられます.

また,最近ではこれらの研究を組み合わせて,保育園の知能化プロジェクトを行っています.保育園の仕事には子供の行動記録というものがあります.これは子供が一日どのような行動を行っていたのか保育士が記録するものですが,子ども一人ひとりについて記録する必要があり,大きな負担になっています.これに対し動作の分節化によって,子供がどういう行動を行っていたかを自動的に記録するというシステムの開発を行っています.

研究にはこのような市販のロボットも使用しています.

2017/11/26 取材
内容は研究室公開時のものです.
教員の異動等により現在の研究内容が異なることがあります.
最新の情報は広報課までお問い合わせください.