張研究室 2017年第1回オープンキャンパス

張研究室 2017年第1回オープンキャンパス

教員へのインタビュー

研究内容について教えてください

信号処理の基礎的な理論研究とそれをマルチメディア信号処理に応用する研究です.マルチメディアの中でも,主に動画像について扱っています.基礎理論研究については,数学を使います.応用については,音声な どの一次元信号や,画像などの二次元信号,動画などの三次元信号について,信号処理の手法をどのように適用していくか,適用したらどうなるかなどを考えています.

一つは,動画像の合成や圧縮についての研究です.画像の合成は,例えば,写真を撮るとき,手前に焦点を合わせると遠くの物体はぼやけてしまいます.全てに焦点を合わせることを「全焦点」と言いますが,全焦点 の写真を作成するためには,カメラだけでは難しいので,複数の写真を合成することで実現します.

HDR (ハイダイナミックレンジ合成)画像は,現在ではスマートフォンなどで簡単に撮ることができます.普通のカメラで写真を撮ると,明るすぎる部分や暗すぎる部分が出てきてしまいます.明るすぎる場合はその部 分が真っ白になってしまいますし,暗すぎればその部分が真っ黒になってしまいます.この原因はカメラのダイナミックレンジが狭いせいです.人間の目で実際に見ている時は,少し暗い程度でも写真にすると真っ暗 になってしまったという経験はあると思います.撮影機器のダイナミックレンジを上げるにはかなりのコストが必要です.そこで,スマートフォンなどでは,複数の画像の合成によってHDR画像を実現しています.暗い 所がわかるように写真を撮った画像と,明るいところがわかるように撮った画像を合成することで,どちらもわかる,ダイナミックレンジが広い画像が作成できます.「どのように合成することで,人間が見ているよ うな画像にできるか」を研究しています.画像の合成の面白いところは,評価が難しいところです.合成した画像には,元画像が存在しないため,人が,合成された画像を見て,これは綺麗だ,など判断する必要があ ります.また,現在のHDR画像生成方法では,複数の写真を同時に一瞬で撮ることができないため,動いている人を撮ると二重に見えてしまいます.そのような画像の補正手法も研究として面白いです.

 

圧縮,または,符号化については,国際規格が存在していることなどから,合成に比べて難しいですが,研究を行っています.皆さんが大学に入学後に学ぶ信号処理の有名な手法の中に,フーリエ変換というものがあ ります.時間信号についてフーリエ変換を適用することで,周波数の情報を得ることができますが,時間情報については失われてしまいます.私が研究している信号処理の手法の中に,ウェーブレット変換というもの があります.これはフーリエ変換と異なり,周波数情報と時間情報の両方を同時に扱うことができます.ウェーブレット変換を画像の圧縮に利用することで,圧縮の性能を向上させることができます.現在使われてい るJPEGという規格の最新のものであるJPEG2000では,ウェーブレット変換が用いられています.しかし,動画の圧縮の規格であるMPEGでは,未だにウェーブレット変換が使われていません.動きがあることから適用が 難しいのですが,私の研究室では適用に向けた研究を行っています.

グラフ信号処理についても研究を行っています.ネット上では,非常に多くのデータが存在しています.ネット上のデータは,音声や画像と異なり,バラバラに広がっています.このバラバラのデータを信号として考 え,どのように処理をするか,という研究です.この研究は画像もグラフとして考え,応用することが行えます.最近注目されているビッグデータについて画像のように圧縮することや,ノイズ除去を行うことなどが 実現できると考えられます.

就職先について

一つは,動画像関係,カメラや画像技術を扱う会社です.画像関係に興味があって研究室を志望する学生が多いので,就職先も画像関係が多いです.動画関係やテレビ業界を志望するもいます.もう一つはIT系の企業 です.ディジタル信号処理を行う上では,プログラミングであったり,ソフトウェアに関する知識が付くため,そちらを志望する学生がいます.

高校生に向けたメッセージをお願いします

大学というと,研究が重要だと考えていると思います.しかし,入学の段階では,何を研究したいかを細かく決めてしまう必要はないです.特に,大学の1,2年の段階では広く学ぶことができるため,色々なものを 知りながら,自分が興味を持つものを見つけていってほしいです.特に電気通信大学では,類に分かれており,大学入学後に自分の方向性を定めていくことができます.最初からコレがしたい,と決めて入学するのも もちろん良いとは思いますが,自分が学びたいものだけに狭く注力してしまうと,後々苦労してしまいます.学びの機会を利用し,広く興味を持って取り組むことで,自分自身が何をしたいかを大学で是非見つけてく ださい.

研究室を選んでいる学生へメッセージをお願いします

研究室の選択では,楽だからここを選ぶということはやめましょう.しっかりと自分が興味を持つ研究をしてください.教員が厳しくても,自分自身が知りたいことに取り組むことで,自分自身の力になります.研究 では,深く,広く知る必要があります.そのため,積極的に調査を行い,知識を身につけていくことになります.研究で身についた知識が社会で,仕事をする上で役に立つかはわかりません.しかし,必要となった時 に既に身についていることはアドバンテージになりますし,そういった知識を身につける力というのは,後から知識を身につける時に大きな力となります.是非そういったことを意識して研究室を選んでください.

学生へのインタビュー

どうして張研究室を選びましたか?

(Aさん)

3年の頃に画像処理に興味を持ち,画像関係の研究室を調べていたところ,張研究室が最も自分が興味を持っている分野において強いと感じたからです.また,学生室を見学させてもらった時,落ち着いた雰囲気で研究 を行っていたため,自分自身に合っているなと思い,決めました.

(Bさん)

私は,高専 (高等専門学校)出身で,画像処理を学びたいと考えていました.そのため,こちらの研究室を志望しました.

高専から電通大に入学して感じたことはありますか?

(Bさん)

癖があってディープな方が多いです.多くの人が個性的な趣味を持っていて,自分の知らない世界のことを楽しそうに教えてくれたりしてくれて,楽しい学生生活を送ることができています.