電子工学工房:講義紹介
電子工学工房はII類の教員が行っている通年講義です.前期は3つのテーマについて,演習を行い,後期は複数の先生から希望の先生を選択しPBL (Project based learning) を行います.PBLは日本語では問題解決学習法と呼ばれ,学生が能動的に課題を発見し,解決することで,自ら体験的に学んでいく学習形態です.
前期演習
前期は
- 電子工学のイントロダクション
- 電子回路にさわって動かそう!
- 電子回路が動いているところを見てみよう
の3つのテーマについて演習を行います.抵抗,トランジスタなどを素子の性質や使い方,回路計測の方法,論理回路の動作について,実際の素子を使って回路を作成しながら学びます.
後期PBLの紹介
後期は複数の先生から希望の先生を選択しPBL (Project based learning) を行います.学生が自由な発想で作品を作ることができるテーマも用意されています.1人の先生とTA(ティーチングアシスタント)に対して少人数(2~6名程度)のグループで作品を製作します.少人数でグループワークを行うため,未経験者であっても製作体験を通して電子回路,デバイスについて学ぶことができます.
2017年度後期に行ったプロジェクトを紹介します.
いろいろの仕組みのラジオの製作 (ストレートラジオからソフトウェアラジオまで)
マイラジオを設計し,組み立てることで,楽しみながら電波を理解することを目的とします.
FPGAで実装する新型シンセサイザー
2017年度は,音から映像を作成するデバイスを製作しました.次の写真は実際にデバイスに音を与えて,出力が正しく行われているかをチェックしている様子です.
動画像処理と連動した電子工作
2017年度は,2グループに分かれて,3Dプリンタ,RaspberryPIと,OpenCVを駆使したデバイスと,OpenCVを使用したAR(現実とリンクした)ゲームを作成しました.
2017年度発表会
後期PBLでの活動と製作物について発表会を行っています.2017年度の発表会について紹介します.
- 全方位カメラデバイスの製作 担当教員: 鷲沢
全方位カメラデバイスを作成し,Raspberry PIで画像検出を行う賢い電子カカシを製作しました.畑を荒らされるニュースなどから着想を得て,技術を利用し,改善することを考えたとのことでした.
- マイコンを用いたエアホッケーとプロジェクタ 担当教員: 鷲沢
Webカメラを用いたホッケーゲームの製作しました.映像のホッケーのパック (玉) を現実のマレット (ラケット) で打ち返すゲームです.デモプレイでは,赤色のラケットをカメラで認識し,プロジェクタの映像上でホッケーを行いました.
今回の発表には間に合わなかったようですが,ラケットにRaspberry PIを搭載し,打ち返した際のフィードバックなどを実装するアイディアの実現に最後まで取り組んでいました.
- ボコーダーの製作 担当教員: 野村
ボコーダーとは,音声信号から周波数特徴を抽出し,電子音にその特徴を付加する楽器です.オシレータ,バンドパスフィルタ,整流回路などを自分たちで設計し,ボコーダーを製作しました.実際に作ってみると理論通りにうまくいかないことが多く,苦戦したようです.
- 金管型電子楽器の製作 担当教員: 野村
金管楽器のように息を吹くことで音を出し,4つのボタンで音程を制御する楽器を製作しました.マイクロフォンへ息を吹きかけることで,レベル検知を行い音の強弱を制御し,ボタンを用いて抵抗により音程を制御する仕組みです.
- デジタルモデムの製作 担当教員: 小島
- -電波を感じる- ストレートラジオの製作 担当教員: 冨澤
- ギリギリまで寝られる目覚まし時計 担当教員: 青木
電車の遅延情報を取得して、起こす時間を早くできる目覚まし時計です.
・鳴らす時間を曜日ごとに設定
・遅延してたら喋る
・時計に近づくことで、アラームが止まる
といった機能も備えています.
- Webブラウザで見られる心拍計 担当教員: 青木
手袋に取り付けた心拍センサーから得られた信号から心拍数を計算し,その値をマイコンで動作する Web サーバーに送信することで,スマートフォンやパソコンの Web ブラウザから心拍数がモニタできるものです.
- プレゼンをより活発に行うための新システム 担当教員: 青木
プレゼンテーション画面に表示されているテキストや画像上に,参加者それぞれが自由に文字の修正や書き込み,またはカーソルでの指示ができるようなハードウエアです.
ネットワークを通じてデータの送受信を行い,その機能を実現しています.
- PYNQを用いたビデオシンセサイザ 担当教員: 高橋(弘)
PYNQというボードを用いたビデオシンセサイザを製作しました.ビデオシンセサイザは音から映像を生成するもので,例えば,音楽に合わせて,アーティスティックな絵柄を表示するものです.プログラムはPythonを,筐体は3D CADを用いて作成しました.写真の図は,手始めにスペクトログラムを表示してみたときのものです.
(2018/3/28 公開)
内容は公開当時のものです.
PBLプロジェクト,講義内容については変更される可能性があります.